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香龍師範の筆文字の独り言


さくらんぼ 山形 佐藤錦

先日、千葉(家人のお姉さん)から、さくらんぼが届きました。

山形産 佐藤錦です。

毎年、初夏の便りにと送ってくれるのです。

さくらんぼ 山形 佐藤錦_a0093343_2051431.jpg


今を遡ること十数年前、
いまや高校生の長女がまだ幼少の頃の事で御座います。
夜寝る前は必ず、おいらの昔話
(昔取った杵塚話し、すなわちおいらの武勇伝ではなく、おとぎ話なのです)
桃太郎や、かぐや姫なのです。

ある日の事、昼間に生まれて初めて食べたさくらんぼがお気の召していた長女、
「さては今日は何の話しにする?」と聞いたおいらに向かって、
「さくらんぼの話しをして・・・・」

子供は残酷なのです。
親の都合は全く関係ありません。
まさしく、鼻から乳牛・・・・(牛乳なら出ることもありますが、乳牛は出ません)

アドリブか?落語の三題話しか?
思いっきりネタを繰って頑張りました。

昔々(これは定番)、山の小さな村にゆきちゃんと女の子がいました。
毎日遅くまで、友達と楽しく遊んでいました。
ある日の事、ゆきちゃんは風邪を引いてしまい、
何日か家で寝ていました。
心配した友達がみんなでお見舞いに来てくれました。
大分元気なったゆきちゃんは、みんなに言いました。
「どうもありがとう」
ところが、かすれて変な声が出ました。
その声を聞いたみんなは、思わず大きな声で笑いました。

その日から、ゆきちゃんは誰とも口をきかず、部屋のなかでひとりでいるようになりました。
そして、全然声も出なくなってしまいました。
困り果てたお父さんとお母さんは、お医者さんに連れて行ったのですが、
ゆきちゃんの声は出ません。

ある日の事、旅のお坊さんがやってきました。
お父さんとお母さんは、そのお坊さんに相談しました。
するとお坊さんは、懐からひとつ種を出しました。
これを庭に植えてみるといいとその種をくれました。

その種を植えると不思議なぐらいどんどん大きくなるのです。
春がくる頃には、ゆきちゃんの背丈ぐらいまで大きくなり、花が咲きました。
そして小さな実がひとつなりました。
ゆきちゃんは、その実を食べてみる事にしました。

その実を食べたゆきちゃんは思わず、
「おいしい」とつぶやきました。
その時から、またゆきちゃんはしゃべれるようになりました。
元気になったゆきちゃんは、またみんなと一緒に元気に遊ぶ事ができるようにもなりました。
そうそのお坊さんは、さくらんぼの精だったのです。
めでたし、までたし・・・・・・・

咄嗟のアドリブにしては、なかなかの上首尾なのです。
その夜以来、その話しを毎晩続けたのですが、
平和な夜は早々続く訳もなく・・・・・

またアドリブで次々と「ねずみ」の話し、それに飽きたら「もぐら」の話しと
創作ばなしを作らされました。

それぞれ、かなり上出来でした。
本気で童話作家になろうと考えたぐらいでしたが、
そのうちネタがなくなりそうだと思いやめました。
(なろうと思ってもなれるものではありませんが)

さくらんぼを見ると思い出す日々なのです。
by kkouryu | 2007-06-27 18:28 | 日々是好日

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